カテゴリー:地域活性化・コミュニティ 市民参画 歴史・地域文化
所在地 | 三重県四日市市 |
開設 | 1907年 |
面積 | 1.08ha |
公園種別 | 市民公園 |
設置・管理者 | 四日市市 |
四日市の中心街にある「諏訪公園」は、平成7年には地下に貯水槽を備えた上で地上部分をリニューアルされました。その後、平成15年には公園内にあった旧図書館の建物を「すわ公園交流館」として改修し、まちなかの賑わい情報発信基地や中心街の活性化拠点として整備されました。こうしたことを契機として諏訪公園ではコミュニティ機能をもったイベントが開催され、広く市民が集うスペースとして活用されています。
今後は中心市街地の活性化やまちづくりの観点からも、多様なコミュニティの形成場所として価値や情報が発信される公園であることが求められています。
諏訪公園は戦中・戦後を通し、古くから四日市中心街にあって、多くの市民の方々に親しまれてきました。
それは、隣接する商店街と相まって、買い物に来られる方の休憩スペースや、のんびりと過ごす憩いの空間です。
そうした市街地に存在する公園ですが、隣接する商店街を含めて、以前から課題となっていたのが、中でも豪雨などの際に周辺商店街が冠水して被害が発生しやすい地域でもあったということでした。
そこで、平成2~3年頃から市街地整備の一環として、諏訪公園の地下に深さ20mの貯水槽を造ることになり、地上部分もヨーロピアン調に意匠して、平成7年には現在の装いを成した諏訪公園が総工費34億円を投じてリニューアルされました。
こうして出来た防災機能付きの公園ですが、隣接する商店街のイベントスペースとしても活用され始めましたところ、もう一方の課題は諏訪公園に存在していた旧・図書館という建物の活用でした。
この建物は昭和4年、地元の篤志家・熊沢一衛氏によって寄贈されたレンガ造りの建物ですが、建物も老朽化しており、あまり活用されない様相を呈していたものでした。
その建物を「中心市街地の賑わい拠点」として整備する構想が浮上し、平成15年にすわ公園交流館として総工費約7百万円でリニューアルされ、同年には国の登録有形文化財と成り、現在に至っています。
この交流館が出来たのを契機として、市民から企画委員を公募で集め、賑わい作りの為のイベントなどの企画が幾つか創り出されていきました。
音楽では「歌声喫茶♪」「交流館Live♪」「すわサマー♪大四日市まつりダァァァッ!」「大正琴大好き!どんぐり音楽会♪」など、文化イベントでは朗読と音楽のコラボ「洒落ナイト春・秋」や「ハッピー♪ハロウインパーティー」、また諏訪公園や商店街までをフィールドにしたイベントとして冬のイルミネーション事業『すわ公園から光の贈りもの』や『1000000人のキャンドルナイトinすわ公園』があり、こどもや子育て世代を対象に『こども四日市』や『大好きパパとお買いもの』など多彩な事業が産声を上げていきました。
昨年度の実績では市民による11の実行委員会が19のプロジェクト事業を企画していて、イベントの数は年間80近くに達するという活動的な文化・音楽情報発信拠点へと成長していきました。
こうして幾つかの事業が諏訪公園と交流館によって生み出されましたが、その内でもコミュニティ的要素を持ったイベントを2つほどご紹介します。
この事業はドイツのミニミュンヘンというイベントを原型にしていますが、「遊んで・稼いで・街をつくっちゃう」をキャッチコピーとして、こどもによるこどもの為の街が出来あがるという楽しい社会学習型のイベントです。
働く仕事は、カフェ・お掃除センター・車いすタクシー・食べ物屋・新聞 記者・モデル事務所・銀行・フリーマーケット協会・ギャラリー・映画館・富くじ・CM制作会社などなど約30くらいの職業が選べます。
その職業に就いて1時間仕事をすると100ヨーという時給が支給され、もっと働きたいこどもは就職を繰り返し、食べたりフリーマーケットでものを買ったりするのは全てこの「ヨー」(ヨーという通貨単位は四日市のヨー)という通貨で決済が成されます。
毎年11月上旬の土曜・日曜という2日間に亘って行われますが、それは、まるで子供だけのコミュニティを創りだしている公園空間とも言えます。
中心市街地の活性化と市民交流のコミュニティビアガーデンをコンセプトにしていますが、平成23年から開始し、8月のお盆明けから3週連続の水曜日には毎回1000名近く(3日間で3000名)の多様な市民がビール片手に語らいあうという情景が生み出されています。
開催時間は夕方5時過ぎから午後8時半までとして、周辺の商店街への誘導に繋げるなど副次的効果も期待されています。
全国どこの地方都市でも課題となっている街づくりですが、ここ四日市市でも中心市街地の活性化のもと今後の展開が喫緊の課題です。
その中で、商店街に隣接し古くから市民に親しまれている諏訪公園の活用は、街なか再生の重要なファクターとして位置づけられています。
コミュニティ機能を持った「こども四日市」や「スワビ・アミューズ」に加え、隣接する商店街や飲食街と呼応して幾つかのソフトイベントが諏訪公園を活用して、これからも多彩な情報発信を続けることでしょう。諏訪公園に存在する交流館、隣接する商店街や飲食街、そして諏訪公園と緑の樹木などを共有する諏訪神社などが街づくりの中核的な施設として共存共栄しながら有機的な連携を保っていくことでしょう。
その中で、ハードとしての施設整備を兼ね備えた諏訪公園は、多くの市民が主体となったソフトのプロジェクトを彩ることで、街づくりには無くてはならない存在として正に市民権を得ていくに違いありません。単なる「憩いの空間」からイベントなどを通じてコミュニティ機能を付与することで「市民社会的に意味のある空間」へと、その価値を高めていくことが、街づくりにとって今後ますます求められているのです。
四日市諏訪西商店街振興組合