所在地 | 石川県金沢市丸の内 |
開設 | 平成13年 |
面積 | 22.4ha |
公園種別 | 総合公園 |
設置・管理者 | 石川県 |
金沢城公園は、江戸期を通じて最大の大名であった加賀藩前田家14代の居城「金沢城」跡であり、金沢大学の郊外移転に伴い、平成8年に県営都市公園として跡地を取得し整備を進め、平成13年9月の「全国都市緑化いしかわフェア」開催に合わせ開園しました。開園から12年を経過しましたが、これまで約1,300万人もの多くの方々にご利用を頂き、兼六園とともに本県を代表する歴史文化の観光交流拠点となっております。現在、公園の基盤を整えた10年間の第一期事業に続き、平成18年度より27年春の北陸新幹線金沢開業に向けた第二期整備事業に取り組んでいます。
本稿では、これらの復元事業において実施している各種の参加型事業の取り組みをご紹介します。
金沢城公園は、江戸期を通じて最大の大名であった加賀藩前田家14代の居城「金沢城」跡であり、金沢大学の郊外移転に伴い、平成8年に県営都市公園として跡地を取得し整備を進め、平成13年9月の「全国都市緑化いしかわフェア」開催に合わせ開園しました。
開園から12年を経過しましたが、これまで約1,300万人もの多くの方々にご利用を頂き、今日では、兼六園とともに本県を代表する歴史文化の観光交流拠点となっております。特に、史実を尊重しながら本物志向で取り組んできた城郭の復元事業は、本県の歴史・文化・伝統を継承する「象徴」であるとともに、本県の魅力を国内外へ発信する「源」となっております。
現在、公園の基盤を整えた10年間の第一期事業に続き、平成18年度より27年春の北陸新幹線金沢開業に向けた第二期整備事業に取り組んでいます。短期事業の「河北門」と「いもり堀」は計画通り平成22年春に完成、引き続き、新幹線開業までの中期事業をスタートさせ、現在、「橋爪門」の復元による金沢城三御門と「玉泉院丸庭園」の整備及び石垣の保全に取り組んでいるところです。
本稿では、これらの復元事業において実施している各種の参加型事業の取り組みをご紹介します。
金沢城公園の復元事業は、史跡金沢城の価値を高めると同時に、県民共有の新たな文化資産を創出する公共事業でもあると考えております。そのため、完成した後に「どうぞご覧下さい」ではなく、事業の計画・施工・完成の各段階において、広く事業を紹介し理解を深めていただくほか、工事過程そのものも観光資源として活用するなど、復元事業をより意義あるものとするための「県民参加による城づくり推進事業」に取り組んでおります。
この事業の中心的なイベントが寄進事業です。建設財源の確保のための寄進というよりは、工事に使用する海鼠塀の「平瓦」と二の門内の「壁板」を対象に、一口5千円で記念のメッセージを残していただく事業であり、先の「河北門」に引き続き、現在、復元中の「橋爪門」においても実施しております。
「河北門」では、「平瓦」と「壁板」合わせて2,893口の募集を行い、海外も含め広く県民や観光客の方々にご参加いただき、延べ9日間の「記名会」では、想い想いのメッセージを残していただきました。
今回の「橋爪門」では、起工式後の一昨年7月から、平瓦500口、壁板1,200口、合わせて1,700口の募集を行い、平瓦については昨年4月に、また壁板については、昨年12月に定数に達したため受付を締め切りました。
また、現地において各工程の節目毎に工事見学会を開催しております。石垣工事から始まり、木工事、左官工事、板金工事へと続く伝統的工法の匠の技を直接見学できることから根強い人気があり、また、ヘルメットを装着する体験も意外な魅力となっているようです。この他に、これらの復元工事の過程を常時、間近でご覧いただくために現場に隣接して見学台を設置し、来園者の方々に作業状況をご紹介しています。
寄進事業では、記名いただいた「平瓦」や「壁板」が実際どの場所に使用されているのか、メッセージの内容も含めて参加者自らがご覧いただき、末長く愛着を持っていただけるよう、建物内にタッチパネル式の案内設備を設置しました。今回の「橋爪門」においては、これに加え、ホームページでもご覧いただけるようにする予定です。
この寄進事業には、多くの方々が「歴史的建造物に自分のメッセージが残せること」が魅力となってご参加をいただいたようであります。 例えば、家族連れの方々は、子供や孫の誕生、結婚、健康祝いの記念として、また、友人の結婚祝いのプレゼントとして、観光客の方々は来園記念として、また、団体や会社の周年記念としてなどなど、私達が想定していた以上の様々な場面で活用していただきました。この結果、完成後のリピーター客の増加や、復元事業の事業効果の早期発現に結びついているものと受け止めております。
一方、完成後の復元建物の利活用を促進するため、平成22年の「河北門」の完成を機に、「金沢城公園利活用推進策」を策定し、第一期で整備した五十間長屋も含めて、復元建物の専用利用を制度化しました。 観覧利用を優先するため、会食などを伴うアフターコンベンションは閉館後の夜間に限定されることや火気は使用できないなど、一定の制限はあるものの、「歴史文化などの金沢らしさ」を堪能できる会場として定着しつつあります。
これらの寄進事業を中心とする参加型事業については、今後も継続的に進めて行くこととしておりますが、来園者のニーズに応じたより魅力ある新企画も検討していく必要があると思っております。
本県では、約1年後に迫った北陸新幹線金沢開業に向け、「全ての施策と予算は新幹線に通ずる」との意気込みのもと、開業効果を最大限に引き出すための取り組みを加速させており、ご紹介した「金沢城三御門」の整備の他に、今年から、石垣を庭園に取り入れた他に類を見ない城郭庭園「玉泉院丸跡庭園」の整備も本格化させています。
今後も史実に沿った本物志向で進める復元整備とともに、ご紹介した参加型の事業のほか、「学習」、「案内」、「もてなし」の三本柱による「城と庭の利活用の推進」、加えて、県金沢城調査研究所の調査研究成果の活用などにより、日本の近世城郭を代表する金沢城の魅力を広く国内外へと情報発信することとしております。 平成27年春の北陸新幹線金沢開業後の皆様方のご来園を心からお待ちしております。
石川県 土木部 公園緑地課