駅周辺の再生と人々の交流・賑わいの回復

大手門公園

カテゴリー:地域活性化・コミュニティ 市民参画 歴史・地域文化 緑の保全・創出

大手門公園 写真

施設概要

所在地 長野県小諸市
開設 平成8年3月19日
面積 1.20ha
公園種別 都市緑地
設置・管理者 小諸市

 国の重要文化財である大手門の保存修理工事を契機とし、かつては、小諸城の城内である大手門から小諸駅周辺を美しく緑豊かな空間として再生しようと大手門公園の拡張整備を行うことになりました。公園の整備や管理・運営方法は、市民協働によるまちづくりの理念のもと、市民参加による手法を取り入れて検討を重ねました。施設のアイデアを提案した公募市民が、「NPO法人こもろの杜」を設立し、多彩なイベント・講座の開催を含めた施設の管理運営を担い、ボランティアをはじめとする多くの市民が交流する施設として賑わっています。

詳細

1.小諸駅・大手門周辺整備事業の概要

  小諸市は、長野県の東部に位置し、雄大な浅間山の南斜面に拓けた高原のまちであり、標高差が大きいことから季節の移り変わりの変化が楽しめ、坂の風景が美しいまちです。
小諸駅周辺は旧小諸城内に位置し、国の重要文化財である「三の門」、「大手門」「旧小諸本陣」があります。かつては、北国街道と鉄道の開通により物流の拠点として栄えたが、長野新幹線の開通やモータリゼーションに伴う都市構造の変化等により、中心市街地の賑わいが失われつつありました。そのため、大手門の保存修理工事をきっかけとした大手門公園の拡張により、小諸城の城内だった大手門から懐古園および駅周辺を美しく緑豊かな空間として再生しようとする「大手の杜」づくりを行うことになりました。この大手門公園の拡張整備を含む「駅・大手門周辺まちづくり整備事業」は、小諸宿周辺地区としてまちづくり交付金事業を活用し以下の3つの目標を掲げ実施しました。
①「高原に育む活力ある詩情公園都市・小諸」を目指し、自然と歴史・文化を活かした小諸らしい誇りあるまちづくりを進める。
②中心市街地において、歩行者が安全でゆとりある歩行者空間を創出し、懐古園からの小諸宿周辺への一体的な周遊性の向上を図る。
③市民が主体となった地域活動の支援を行うとともに、市民と来訪者が交流できる新しい賑わいの創出を図る。

2.事業の経緯

  当市においても、小諸市の将来都市像である「みんなで育む 笑顔と自然が響きあうまち 小諸」の実現を目指し、まちづくりを市民との協働により進めており、大手門公園の整備や管理・運営方法を、市民参加による手法を取り入れて検討を重ねました。

 具体的には、平成17年度に地元のみなさんや公募で集まった市民、地元自治会等関係団体およびNPOを中心に、「駅周辺まちづくり・アイデア会議」を計4回、のべ150人が参加して行い、整備構想を取りまとめました。そのアイデア会議に参加した市民有志が提案だけでなく、市民アイデアを実現するため準備会を設立することになりました。

 平成18年度には、美しい公園づくりには、管理・運営面において、市民、行政、専門家の協力体制が不可欠であることから、「緑のサポーター講座」、「食の探検隊」と称して講座を開催し、公園の管理や計画について一緒に考える機会を設けました。

 平成19年度、平成20年度には、前年度の講座参加者の中から専門知識のある人材に講師を依頼し、公園のボランティアの協力を仰ぎ、組織化をするため、前年度の講座を発展させ「花と緑の学校」、「こもろの味づくりの会」等の講座を開催しました。講座や市民参加の仕組みづくりには市だけではなく、NPOや地元出身のまちづくりプランナーの協力を得ながら進め、公園等の設計会社も市民説明会や準備会との協議の場を設け、施設計画に市民の意見を反映しながら設計を進めました。

 市民有志でたちあげた準備会は、公園の管理・運営に係るための組織体制を協働でつくりあげながら、平成20年8月にまちの活性化事業に取り組むことを目的としNPO法人こもろの杜を設立しました。NPO法人こもろの杜は、市民参加による花壇デザインを「緑のデザイン大賞」に応募し、その提案が第19回緑のデザイン賞(国土交通大臣賞)を受賞しました。その受賞した緑化助成金を活用し、造園家、地元ガーデナー、花と緑の学校講師の園芸家およびボランティアが協力し素敵なガーデンが誕生しました。

 このような市民協働による経緯を経て、平成21年4月に、大手門公園の第一期拡張工区として、市民応募による愛称「停車場ガーデン」が供用開始となりました。また、平成24年4月には、第二期工区として、広く市民に公園整備に関わってもらおうと市内外から寄せてもらった多様な石を使った「せせらぎの丘」及び「浅間山麓野草園」がオープンしました。

3.成果と課題

  現在、大手門公園の指定管理者はNPO法人こもろの杜が受託しており、以下の3つの理念を掲げ公園管理と運営にあたっています。
①小諸のまちを元気にする
②花と緑でまちおこしをする
③小諸の農と食を応援する

  活動成果としては、オープンから現在までに「花と緑」や「食」に関する多彩な講座やイベントを開催し、市民や観光客が集まる憩いの場や交流の場となっています。そして、ガーデンボランティア(こもろ花くらぶ)は40人以上が登録し、毎週金曜日にガーデニング作業を行っていただいています。また、市街地にある相生町商店街のおかみさんを中心に、「花と緑で商店街の魅力づくりをしよう」という機運が高まり、停車場ガーデンと連携して寄せ植えを作成し各店舗に飾るなど、緑のネットワークが広がってきています。また、食の部門では地産地消を進め、伝統的な健康食品の消費と生産を掘り起こし、小諸の特産品づくりを行ない広く紹介しています。そして、毎年度実施している歩行者調査では、懐古園から大手門公園への通行者も増加してきています。こうした駅周辺の中心市街地に市民が関われる魅力的な場所を設けることで、市民の憩いの場や小諸市を訪れるひとのふれあいの場としての賑わいの場が創出され、コミュニティの活力が高まってきています。

  課題としては、さらに市民および観光客が積極的に公園に関われるよう、市民の意見や訪れる人の意見を聴取し、適切に指定管理者の提案に協力しながら、公園の理念に合致した公園整備を継続的に進める必要があると考えます。

4.今後の展開

  現在、都市再生整備計画事業を活用し、平成29年度の供用開始を目指し、大手門公園の第三期工区の拡張整備を進めています。また、小諸駅周辺の中心市街地において、コンパクトシティの考え方で老朽化した市庁舎や図書館の更新を図り、市庁舎敷地の一部を小諸厚生総合病院の再構築移転場所として提供し、公共サービスや医療機能など都市に必要な機能の集積を進めています。これらの整備についても、さらなる市民協働によるまちづくりを着実に進め、小諸に新旧のハーモニーが奏でる新しい賑わいを創出していきたいと考えています。

小諸市 建設部 都市計画課

 

 

 

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