区民が育てる身近な公園~公園サポーター制度~

新宿区立公園 中落合公園 他94園

カテゴリー:市民参画

新宿区立公園 中落合公園 他94園 写真

施設概要

所在地 東京都新宿区
開設
面積
公園種別 街区公園等
設置・管理者 新宿区

 新宿区の公園サポーター制度は、区民や区内事業者の皆さんが自主的、自発的に、安全で快適で使いやすい公園を育てていく制度です。新宿区内には区立公園やポケットパーク、遊び場等が185園ありますが、そのうちの95園で115団体、1153名の方がサポーターとして、清掃や花壇の管理、公園利用の指導、地域のイベント開催などで活動中です(平成25年8月現在)。

詳細

1.取り組み内容
(1)新宿区の区立公園等の現状

 当区の区立公園等は、公園・児童遊園・庭園・ポケットパーク・遊び場に分かれており、総数は185園となっています。

 現場の維持管理は、2つの公園事務所が主に行っています(1園は指定管理者による管理)。平成13年度から協働事業として、区民や区内事業者の方との合意の下に、無償で区立公園などの管理や運営の一部を担っていただく公園サポーター制度を実施しています。

(2)公園サポーター制度前夜

 本制度は、当初、養子縁組を基調とした活動という観点から「公園の里親制度」という名称としていましたが、「里親」という名称の使用の適正化に努めることとして、平成15年度に「公園のサポーター」制度に名称を変更しました。
なお、本制度導入の背景としては、当時以下のような状況があり、これを受けて区民等による自主管理制度を導入することになったものです。
ア)行政による公園管理では、予算及び人員が限られているため、どの公園も平均的水準の管理になりがちであること。
イ)近年の公園を巡る様々な課題は、解決に向けて利用者自身でもある地域住民の積極的な協力が必要不可欠であること。
ウ)ボランティア活動が全国的に盛んになっており、地域によっては、公共施設の管理を行政任せにせず、自らの自主的活動によってより良くしていこうという意欲的な動きがみられること。

 本制度の検討が開始された平成12年度当時は、昭和55年度から開始された「公園愛護会事業」が実施されていました(平成18年度に本制度に一本化のため廃止)。この事業は、有償のボランティア活動として、活動内容を公園の清掃及び児童保護に限定して謝礼金を支払っていたものです。事業開始当初は41団体、一時増加したものの、平成12年度当時は26団体にまで減少しており、構成メンバーの高齢化という問題も抱えていました。新たに検討された「公園の里親制度(公園サポーター制度)」は、活動内容を限定せず、無償で、対象者も地域住民に限らず、NPOなどの法人の参加も認めるということで、自発的かつ自主的に管理を行うことができる自由度の高い制度として発足しました。

3)動き出した公園サポーター

 公園サポーターの前身である「公園の里親制度」は、平成13年9月から希望者の募集を開始しました。新宿区の広報紙である「広報しんじゅく」9月5日号では、1面全面を使って「公園の里親募集」をアピールしています。その後、31件の申出がありましたが、平成14年2月の段階で活動中の団体は21組(参加者数72名)でした。

(4)公園サポーターの現況

 制度発足当初は21団体が18園で活動を始めましたが、十二年目を迎えた平成25年8月末現在、115団体(個人での活動を含む)が95園で活動中です。メンバーの数も、当初の72名から現在は1153名と、区内で千人を超える公園サポーターが活躍しています。

 公園サポーターは、個人での活動が28名、団体が87団体で、そのうち14組が法人です。活動内容としては、 清掃、花壇や植込みの管理などが多いのですが、その他、利用の指導(公園利用者にマナーを守っていただくための声かけ)、地域のイベント開催、公園トイレや遊具の清掃など、様々なアイデアで多種多様な活動が行われています。なお、区は、用具類やサポーター腕章の貸与、活動周知板の設置(希望者のみ)などの支援を行っています。

(5)具体的な取り組み

ア)「みんなで考える身近な公園の整備」事業の参加者

 当区では、「みんなで考える身近な公園の整備」事業として、地域に身近な公園の改修に際しては、計画・設計段階から、地域の方をはじめとする利用者の方々のアイデアを活かすため、ワークショップの開催等に取り組んでいます。自分たちのアイデアでできた公園に愛着を持ちやすいこともあるせいか、ワークショップの参加者が、そのまま公園サポーターになるケースが多くなっています。

イ)子どもの参加

 子どもたちが公園をサポートしてくれるケースもあり、その多くは花壇への花の植え付けや、イベントへの参加となっています。小学校が直接サポーターとなって授業の一環として花壇に花を植える、既存のサポーターと近隣の小学校が協力して花を植える、サポーターが計画したイベントに子どもたちが参加するなどといった事例があります。公園内のビオトープを管理する一環として、田植えや稲刈りを近隣の小学校と一緒に行ったり、イベントで藁縄づくりなどを子どもたちに教えているグループもあります。

ウ)企業のボランティア活動

 本制度には、事業者の参加も可能となっていますが、区民の方などの参加に比べると比率が少なくなっており、本制度の課題の一つでもあります。しかし、企業ぐるみで公園の清掃を行っているサポーターのグループや若手社員が自主的にグループを作って活動しているグループもあり、頻度も週1回から年2回など様々です。多くの企業が存在する新宿区としては、今後も地域活動に参加してくれる企業が増えることを期待しています。

エ)特色のある活動

 活発に活動しているサポーターグループには、自主的なルール(規約)を作ったり、定期的に活動ニュースを発行したり、お揃いの名札やユニフォームを作っているところもあります。また、福井県出身の杉田玄白の記念碑のある公園に、福井の県花である越後スイセンを植えている、かつてホタルが見られた地域にある自然風の公園で、区が行っていたホタル飼育を地域のサポーターが引き継いでいるなど、それぞれの公園の特色を生かした活動も行われています。

2.成果・効果

 本制度の目的の一つに、地域の実情にあった公園管理を取り入れてもらうことで、公園を訪れる人に楽しさや快適さをもたらすということがあります。また、サポーター自身にも、生きがいや新たなライフスタイルを発揮する場を提供し、地域のコミュニティづくりに役立つということも目的の一つです。サポーターに公園で活動してもらうことにより、区職員の目の届かなかった問題が発見されたり、人のいなかった公園に利用者が戻ってくるケースも多々ありました。

 平成23年3月の東日本大震災後、ボランティア参加意識が高まったという話をよく聞きます。本制度も、平成23年度で16グループ、平成24年度で9グループの新規登録がありました。活動内容も、当初は清掃や除草、花壇管理がほとんどだったのが、イベントの運営といったソフト面の活動など、様々なアイデアが展開されるようになってきました。「自分のできることを身近なところから始める」という、いい意味で肩の力の抜けた活動をしている方が多くなってきたように思います。

3.課題・今後の展開

 公園でのボランティア活動で問題になりやすい「公園の私物化」については、どこからが私物化なのかという線引きが難しいところです。本制度は「自主的・自発的に活動する」ものですから、自主性を損なわないよう、一般の利用者の視点に立った運営管理をお願いしていくとともに、今後は、個別に活動することの多い各サポーターの連携を促すため、まずは区から定期的な情報発信を図っていく必要があると考えています。

 それぞれの公園に課題や問題もありますが、サポーターや利用者の皆さんに生き生きと使ってもらっている公園は幸せそうです。今後も、公園を地域のコミュニティの場としてさらに活用してもらえるよう、サポーターと協力しながら前進していきたいと考えています。

新宿区 みどり土木部 みどり公園課 公園管理係

 

 

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