緑化ボランティア育成による持続的な花とみどりの維持管理

花園中央公園

カテゴリー:市民参画 緑の保全・創出

花園中央公園 写真

施設概要

所在地 大阪府東大阪市鷹殿町、松原南1・2 丁目、吉田6・7・8 丁目
開設 昭和62(1987)年
面積 222,216㎡
公園種別 総合公園
設置・管理者 設置者:東大阪市 指定管理者:(公財)東大阪市公園環境協会

東大阪市のほぼ中央に位置し、「花園」の名にふさわしい四季折々の草木や花木など緑豊かな市民の憩いの場として、また、スポーツ、レクリエーションなど「見る」「する」「遊ぶ」ことのできる施設や、コミュニケーション、文化活動の場となる施設を整備し、防災機能もあわせもつ東大阪市唯一の総合公園である。

詳細

1. 公園の概要

花園中央公園では、「花園」の名にふさわしく季節ごとの花が楽しめる。開花時期には多くの人が訪れ、市民の憩いの場となっている桜の広場、花しょうぶ池やロックガーデンのほか、以下のような施設がある。
・ラガーステーション
惑星都市のスポーツスタジアムをイメージした様々な大型コンビネーション遊具がある。
・児童文化スポーツセンター「ドリーム21」
スポーツホールやプラネタリウム、科学展示室などの屋内施設である。
・多目的芝生広場
広大な広場には、健康遊具や、無料のドッグランがある。
・花園中央公園野球場(花園セントラルスタジアム)
スコアボードや内野観覧席を有する本格的野球場であり、オリックスバファローズ2軍の公式戦が行われる。
・多目的球技広場(トライスタジアム)
天然芝の敷かれたグラウンド、第3種公認陸上競技場を備えている。
・花園ラグビー場
昨年より東大阪市の所有となった。全国高等学校ラグビーフットボール大会の会場であり、平成31(2019)年にはラグビーワールドカップも開催される予定である。
・市民美術センター
日本庭園や茶室を併設した純和風の建物で、絵画や書道などの展覧会のほか、特別展示、創作講座・美術講演会などを開催している。
・多目的遊水地・常時池
洪水時にはその規模にあわせて洪水を貯留する多目的遊水地としての機能を備えている。

2. 取り組みの背景・目的

東大阪市はみどり豊かな生駒山とみどりの乏しい市街地に大別され、市街地にはみどりの核となる花園中央公園をはじめとする公園や緑地が点在するが、市民一人当たりの公園面積は不足している。駅前広場や公園、街路樹等の樹木のみどりは多く存在し目につきやすい状況であるが、まちに彩りを与える花については日常的な維持管理が行き届かず少ない状況である。
このような状況の中、花によってまちに彩りを増やすためには継続的な維持管理に協力していただける緑化ボランティアの育成が不可欠であると考え、平成23(2011)年度より緑化ボランティア育成事業を開始した。

3. 緑化ボランティア育成事業について
(1)事業の目的

地域における継続的な緑化活動を推進するため、花と緑の知識や緑化技術の習得を目的とする講座を実施し、その指導者となる人材の確保と育成を行うことを目的としている。

(2)緑化ボランティア養成講座

カリキュラムは、年12回の講義と実習で構成されている。

ボランティア養成講座の内容

内容は、「ボランティアとは?」や「緑化リーダーについて」といった心構えや「花壇の土づくり」や「花壇の管理方法」などの講義、実習といった基礎的な内容から、「地域緑化プランづくり」や「オリジナルの実習花壇制作」といった実際の緑化活動を推進するための高度な内容まで一年間を通じて実際のボランティア活動に近い、幅広い内容を学べるように工夫している。一年を通してのカリキュラムとすることで、受講生同士のつながりを深めることが出来るようにしており、修了した後も仲間とともに継続的に緑化活動に取り組んでいただけるようにしている。実習は班ごとに進められる。班分けの際は、修了後の継続的な活動を見据えて、居住地の近い人たちを同じ班にするなどの工夫がなされたが、班でかたまりすぎるとの影響もみられた。この点は今後の課題となっている。
養成講座は、花園中央公園で開催されている。定員を20名とし、受講資格は、市内在住、在勤、在学のいずれかで、全日程受講でき講座終了後に緑化ボランティアリーダーとして継続的に市内の緑化活動に参加する意思のあるもの( ボランティア登録できるもの)となっており、受講費用は無料である。受講にあたっては、事前説明会を実施し講座の主旨を理解してもらった上での参加としている。
運営は、特定非営利活動法人シニア自然大学校に業務委託しており、実習の際は班ごとにシニア自然大学校の方がアシスタントとしてサポートをおこなう。本講座は平成23(2011)年度から実施しており、これまでの参加者は累計で100名を超える。

年度 H23年
(2011)
H24年
(2012)
H25年
(2013)
H26年
(2014)
H27年
(2015)
参加者数 25 17 21 22 18
終了者数 25 16 20 22 16

講座修了生には修了証とともにトレードマークである黄色エプロンも配布される。修了後の地域でのボランティア活動の支援としてフォローアップ講座も開催されている。平成27(2015)年度は年7回開催された。

4. 緑化ボランティア育成事業の成果

緑化ボランティア養成講座の開催により、色々な事業が立ち上がり、市民の緑化活動に波及している。緑化活動に対する市民からの反応も良好である。

(1)「花とみどりいっぱいに会」

花とみどりいっぱいに会

公園や公共施設に花を植え、東大阪市を花と緑であふれる住みやすい環境にすることを目的に、講座修了生を中心に平成24(2012)年度に結成された市民ボランティア団体である。緑化ボランティア活動を継続するための重要な役割を担っており、花園中央公園内の花苗工房で行っている花苗の育成を始め、市の緑化イベントや講習会への協力や運営補助等にも尽力している。活動場所は市内19ヶ所と広がりをみせ、助成金や基金を獲得して自主運営している。

(2)緑化ボランティアキャラバン事業

東大阪市主催のもと講座修了生を中心とした市民や地元企業、団体との協働で駅前広場や庁舎周辺などの公共施設の緑化を進めていく事業であり、平成24(2012)年度から実施している。花壇やプランターへの植栽活動などを通して、身近なみどりの保全・創出に貢献している。
主な活動場所は、市役所本庁舎周辺、JR高井田中央駅前広場、近鉄布施駅前広場、近鉄八戸ノ里駅前広場であり、今後も活動場所を増やしていく予定である。

(3)東大阪市みどりのサポーター事業

緑化ボランティアキャラバンによって植えられた花壇やプランターの維持管理を地元企業や団体の協力を得ておこなうことで、市民に潤いとやすらぎのある環境を与える地域の環境美化に資する事業である。賛同していただける企業・団体とは覚書を締結するとともに、活動地内に企業名などを記載した看板を掲示することができる。

(4)東大阪グリーンフェスタ~おもてなしで彩る花園~

東大阪グリーンフェスタ

市内の各地域に緑化の意識を高めるため、市内の中学校区を回り、開催してきた東大阪市植樹祭( 昭和59(1984)年~ 平成26(2014)年)が全ての中学校区を回り終えたのを契機として、東大阪市、東大阪市を緑にする市民の会、東大阪グリーンフェスタ実行委員会が主催者となり、市民とみどりを結びつける新たな緑化推進のイベントとして平成27(2015)年度に第1回東大阪グリーンフェスタが開催された。
当日は5000人の参加があり、平成28(2016)年度は10月23日に開催する予定である。花とみどりにいっぱいに会もワーキングから参画し鉢上げ体験ブースを担当するなど、積極的に参加している。

(5)花づくり学習会事業

幼稚園、小・中学校、自治会、地域緑化グループ等の代表の方( 幼稚園、小中学校は先生)に講習会へ参加してもらい、種から花を育成する方法を学習する事業である。習得した技術を各会員のみなさん( 幼稚園、小・中学校は子供たち)に伝えてもらい、一緒に花を育ててもらう。花の育成に必要な資材は市から支給される。その活動を通じ、花と緑いっぱいのまちづくりに役立てると同時に植物についての関心や理解を深めてもらうことを目的としている。
講習会では、みどり景観課職員が講師として参加者に花の育成に関する知識と方法を教え、「花とみどりいっぱいに会」の会員がアシスタントとして協力している。講座は春蒔きの時期と秋蒔きの時期の年2回行い、受講した後も3年間は花の種を送付することで継続的な緑化活動に取り組んでいただくようにしている。

5. 花苗工房における活動

花苗工房の整備の経緯

市民が花や緑とふれあい学ぶための施設、公園や公共施設で植える花苗を市と緑化ボランティアが協働で育てるための施設として花園中央公園に設置された。
整備前は草だらけの荒地だった場所を、平成25(2013)年に市の職員やボランティアで草刈から整地まで行いビニールハウスを設置した。平成26(2014)年度には、自動灌水装置を備えたビニールハウスが増設され、講習会やイベント、花苗の育成等に活用されている。
花苗の育成は年2回実施されており、育成については自動灌水装置を活用しているが緑化ボランティアが日々点検に訪れ、日々のメンテナンスを実施している。一回あたり約3500株を育成しており、春播きと秋播きで年間約7000株となる。育成した花苗は、ボランティア活動場所に植栽され、市域の緑化活動を支えている。
また、市民の方にも種から花を育てる方法を学んでいただくための実習場所として活用しており、実習に際しても緑化ボランティアにサポートをしていただきながら講習をおこなっている。

課題と今後の展開
(1)課題

緑化ボランティア団体「花とみどりいっぱいに会」の運営について、植栽活動地は確実に増えているが、団体を発展させるための組織づくりや財源確保の点について進展の余地が認められる。結成からまだ5年であるので今後、継続的、発展的に活動するための仕組みづくりが急務である。
東大阪市としては、市とボランティアのよりよい関係性の構築や、緑化事業の支援も検討課題として上がっている。その他の事業についても、引き続き拡大していくことで東大阪市内の緑化を推進していけるものと考えており、積極的な広報をおこなうことで参加していただける市民や企業、団体を増やしていきたいと考えている。

(2)(仮称)緑化センターの整備に向けて

これまでに記述した通り、緑化ボランティア団体や市民、団体の緑化活動は活発化しており、東大阪市における緑化活動の機運が高まっている。その中で“( 仮称)緑化センター”設立の要望があがっている。
東大阪市みどりの基本計画には花園中央公園内において花とみどりのまちづくりの市民協働の拠点として( 仮称)緑化センターの整備について明記されており、現在、整備が進められている。(仮称)緑化センターの基本目標は、「緑を生み出し、緑に親しみ、豊かで住みやすい東大阪市に~まちとやま、みどりでつなぐ活動の輪~」である。
平成26(2014)年度は基本構想・基本計画が策定された。平成27(2015)年度は建築工事に係る基本・実施設計業務等の委託が実施された。平成28(2016)年度以降、施設の早期設立に向けて、引き続き事業が進められている。

取材協力(平成28年): 東大阪市みどり景観課

 

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