計画的な公園再整備~「公園わくわくプラン」~

花蒔公園

カテゴリー:リニューアル 市民参画

花蒔公園 写真

施設概要

所在地 長野県茅野市湖東花蒔
開設 昭58年9月11日
面積 1.7ha
公園種別 近隣公園
設置・管理者 茅野市

「公園わくわくプラン」は、「今あるものを有効に活用する」をテーマに策定された公園再整備計画です。このプランの基本理念である「みんなで親しみ愛し楽しめる市民参加の公園づくり」を合い言葉に、改修公園毎に地元住民を中心とした「わくわくプラン推進委員会」を立上げ、利用者の意見を取り入れた改修工事を実施しています。
平成25年現在4つの近隣公園の改修が完了し、現在5カ所目となる地区公園の改修計画を検討しています。その公園が備えている特徴を生かし、地域に安らぎと潤いを与える公園に再生するよう改修を進めています。

詳細

1.取り組み内容
(1)背景・目的

  昭和49年から茅野市で都市公園が整備され約30年が経過し、一人当たりの都市公園面積は全国的な水準に到達しました。平成14年度に、自治会長を対象に実施したアンケートでは自治会が所有する公園の管理・利用状況について把握しました。

 また、合わせて都市公園の施設や理想像などについて聞いたところ、社会環境の変化とともに公園に対するニーズが多様化し、公園の量よりも質を求める多くの意見が寄せられました。

  このような背景から市全体の公園について現状や課題を整理し、それぞれの公園の特色を生かした整備を進めるため、今ある施設を有効に活用しながら市民参加の公園づくりの指針となる「公園わくわくプラン」を平成17年1月に策定するに至りました。

  茅野市では、公民協働の「パートナーシップのまちづくり」が以前より推進されており、市民の皆さんがまちづくりを自分たちで考え行動していく体制が整っていました。アンケートでも地域の声を十分に取り入れた公園づくりが望まれており、公園わくわくプランの策定についても市民参加によるプラン作りを容易に進めることができました。

(2)活動内容

  子どもが生まれてから18歳になるまで、その家庭の子育て・子育ちを一貫して応援していくため平成14年度に「茅野市こども・家庭応援計画」(通称どんぐりプラン)が策定され、「どんぐりプラン推進委員会」が設立されました。
このネットワークを「公園わくわくプラン」の実施においても活用し、自治会代表者及びどんぐりプラン推進委員を中心に構成された総勢30名からなる策定委員会を設立し、現地視察や課題の整理、具体的なリニューアルの実施方法等について17回にわたる検討を重ねました。

  本プランは、市民の皆さんが主体となり、行政、各種団体と協力し合って、みんなで親しみ、愛し、楽しむことのできる公園づくりの実現を目指しています。

  公園わくわくプランの実施にあたり、公園が老朽化し、かつ利用者の改善ニーズの高い公園から優先的にリニューアルを行うことになりました。
実施プログラムとして10年間で5公園(近隣公園4カ所、地区公園1カ所)の整備を行いますが、2年間を1単位として、1年目には個々の公園の特色を生かしたリニューアル計画を立案し、2年目には計画に沿った工事を行います。各公園のリニューアル計画については、公園毎に

  関係市民の皆さんを中心とした「わくわくプラン推進委員会」を設置し公園わくわくプランに基づき検討を行いました。

  事業費は5公園の合計で1億円とし、それぞれの公園の特色に応じた予算配分を行い整備しています。

  平成17年度から計画的な公園リニューアルを開始し、既に近隣公園の弓振公園、金沢公園、花蒔公園、前宮公園が生まれ変わり、現在5カ所目の地区公園の岳麓公園について計画検討を行っています。

  公園わくわくプランのリニューアル事例の中から、平成22年度に完了した花蒔公園リニューアル整備について具体的に紹介したいと思います。

  花蒔公園は昭和58年9月に面積1.7haを有する近隣公園として開園し、30年が経過しています。この公園は長野県道192号茅野停車場八子ヶ峰公園線(通称ビーナスライン)に面し、地元運営のマレットゴルフ場や土産物店に隣接した緑豊かな公園でしたが、施設の老朽化、駐車場不足、木々の成長による眺めのさえぎりなどの課題を抱えていました。

  「花蒔公園わくわくプラン推進委員会」を平成21年度に設置し、関係自治会、PTA、保護者会、高齢者クラブ、スポーツ施設利用団体などに加え、アドバイザーとして前リニューアル公園(金沢公園)の推進委員経験者と次期リニューアル公園(前宮公園)の地元代表者からなる23名の方々にご協力いただきました。

 委員会では、公園の利便性や安全性、施設の老朽化等を問題視する一方で、公園のグラウンドやテニスコートなどスポーツを行う環境も整っており、恵まれた立地条件を生かした再整備によって公園を中心とした周辺施設との連携と相乗効果に期待をよせる意見が挙がりました。

  委員会の初期では自由に意見を出していただき、計画の概要を検討し、後半からは1,800万円の予算を考慮した取捨選択をしてリニューアル計画案をまとめ、現地確認や他公園視察など2年間で11回の推進委員会を行いました。また、広報とホームページで一般市民の皆さんからも広く意見を募りました。
リニューアル計画の主な内容は下記のとおりです。

・公園全体:高木が密集しており暗く湿っている感じで子どもだけで遊びに行かせるのが心配であるため、木陰を残しつつ高木の伐採やせん定を行い、明るく安心できる公園に改修する。
・駐車場:スペースが狭く駐車しにくい。また、土曜日曜などグラウンドやテニスコートの利用が重なると駐車場が不足することから、駐車スペースを広げ幹線道路のビーナスラインからも直接出入りできる駐車場を整備する。
・遊具:既存遊具を見直し、使いやすさや安全性を高める。

  特に、花蒔公園の遊具の中で滑り台と一体となっているコンクリート製の築山は、非常に人気のある遊具で、この築山を目当てにわざわざ遠いところから子どもが遊びに訪れます。頭としっぽを隠して眠っている恐竜の背中を滑り落ちるような見た目のユニークなオリジナル遊具は花蒔公園のシンボルでもあるため、老朽化により発生したクラック等の補修と昇り降りの難しい独立柱の階段から使いやすい階段に取り替え、小さい子どもでも安全に遊べるように改善しました。
・トイレ:周囲に高木が密集し暗く、建物も老朽化して清潔感が無いためリフォームを行う。
・集合広場:集いの場として有効利用されていないので、公園の玄関口にふさわしいおもてなしの空間を演出するためベンチの補修や花壇を設置する。

  改修工事中には、推進委員と一般市民の皆さんに協力していただき、公園の玄関口に当たる集合広場周辺に花の植栽を行いました。子どもからお年寄りまで幅広い世代の方々に参加していただき、公園を訪れた方々の心をなごます場所を作ることができました。

  また、本公園は茅野高等学校花蒔分校の跡地に整備されており、敷地内には分校の門柱が残っていました。その一部を再利用し、茅野高等学校同窓会の協力を得ながら花蒔の歴史や風情が感じられる記念碑を設置しました。

  花蒔公園リニューアル後には、推進委員や公園利用者など市民参加による管理体制が構築され、植樹帯やテニスコートの管理等についてご協力いただいています。

(3)工夫・苦労点

  改修工事では明るく見通しが利く公園と駐車スペースを確保するため、アカマツやサワラなどの間伐を行いました。間伐材の中からサワラをベンチの座面、テーブルセット、テニスコート内の日除け用パーゴラ等の資材として活用しました。

 公園で育ったサワラの木は、やさしい手触りのベンチ(15基)やどっしりとしたテーブルセット(3セット)等の憩いの施設として姿を変え、新たに花蒔公園で歴史を刻むことになりました。現場発生材を建材として再利用することで、廃棄物と事業費の削減を図ることができました。

  リニューアルオープン記念としてサワラの間伐材を利用したしおりを作成し、イラストには茅野市で出土した国宝「土偶」(縄文のビーナス)、重要文化財「土偶」(仮面の女神)、茅野市の花「リンドウ」を印刷し好評をいただいております。なかでも重要文化財「仮面の女神」は花蒔公園から約250mの地点にある中ッ原遺跡で出土した土偶で、趣のある組み合わせになりました。

  公園内には藤棚を利用した休憩所が2カ所ありました。1か所は藤が老木であったため老朽化したベンチ等と一緒に撤去し、日除け付きの砂場に改修を行い、砂場については中央に水栓を設け水遊び・砂遊びが楽しくできる工夫をしました。

2.成果・効果

公園わくわくプランに沿って進めたことで、市民の皆さんの多くの意見を反映した再整備を行うことができました。今まで再整備が完了したどの公園も普段から公園を利用している皆さんのアイデアを生かした改修が行なわれているため、親しみのある楽しい公園として愛着を持って利用していただいています。

  花蒔公園では、高木の間伐により明るく見通しが利く公園に生まれ変わり、トイレの外観や外灯柱の塗装については、周囲のアカマツ林の景観に調和するような色彩を選ぶことで落ち着きのある空間となりました。また、駐車場不足が解消され、公園利用者が大幅に増加しました。

3.課題・今後の展開

  公園再整備の全体の課題として、間伐による発生材や既存施設の撤去処分に経費がかかります。限られた予算で、高価な製品に頼らず知恵を縛り、費用以上の効果が上がるような公園整備が課題となります。

  また、公園利用者の要望によりリニューアルに合わせ2カ所の近隣公園には無料のバーベキューエリアを設けましたが、一部のマナーの悪い利用者がゴミを置き去りにしてしまうことが見受けられるようになりました。ゴミの持ち帰り等の対策としては、看板による注意喚起や清掃回数を増やすことで清潔な環境を保つよう努めています。
茅野市には、現在33カ所の都市公園がありますが、今後は既存施設等を有効利用しながら、公園の長寿命化を図りつつ市民の皆さんのニーズを反映した質の高い公園の再整備が重要になってきます。

  平成25年度から、中規模公園では5カ所目となる岳麓公園リニューアル整備の検討を開始しました。また、総合公園の永明寺山公園でも今年度から推進委員会を組織し再整備の検討を開始し、改修内容に応じて複数年にわたり段階的な改修工事をする予定です。

  今後は、このプランの基本理念である「みんなで親しみ愛し楽しめる市民参加の公園づくり」を合言葉に、市民の皆さんの思いや願いを聞きながら、地域に安らぎと潤いを与える公園改修を進めていきたいと考えています。

茅野市 都市建設部 都市計画課

 

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