広域的視点を持ったパークマネジメント

野山北・六道山公園

カテゴリー:地域活性化・コミュニティ 子育て 市民参画 民間活力 生物多様性

野山北・六道山公園 写真

施設概要

所在地 東京都武蔵村山市
開設 昭和63年6月1日
面積 191.9ha(平成24年6月の開園面積)
公園種別 広域公園
設置・管理者 東京都

 都立野山北・六道山公園は、豊かな自然が残された都立公園の最大の里山公園です。平成18年4月から「西武・狭山丘陵パートナーズ」が指定管理者として公園管理運営を行っており、平成24年で指定管理7年目を迎えています。私たち西武・狭山丘陵パートナーズは「都民協働による循環型パークマネジメント」を確立してきました。そして、今まで実施してきた都民協働による公園づくりや生物多様性の取り組みをさらに充実・発展させ、東京都及び都県境を越えた丘陵地連携も踏まえた、広域的視点を持ったパークマネジメントへ発展させてきました。

詳細

1.都立野山北・六道山公園の特徴
●公園概要

  都立野山北・六道山公園は、狭山丘陵の南西部に位置し、雑木林と谷戸の組み合わせによって、豊かな自然が残された都立公園最大の面積(約191ha:平成24年度開園面積)を誇る里山公園です。遊びと観察エリアや六道山展望エリア、里山体験エリアなど、豊かな里山環境を背景に、多様な顔を持つ公園です。

●多様な4団体のコンソーシアムによる管理運営

  私たちは、指定管理者として、造園会社、NPOがそれぞれの得意な分野を活かした管理運営を行っています。また、管理運営体制として、本部及び7つの部を設置しており、協働を進める専門部署として、「都民協働部・イベント部」を設置しています。

●東京都の管理運営方針

  東京都の狭山丘陵における都立公園の管理運営方針では、「都県境を越えて連なる丘陵地公園として、里山の自然あふれる環境特性を活かし、都民協働による動植物の生息地の保全に取り組み、自然学習・作業を通じて普及啓発を進める」とあり、都民協働に重きを置いた方針が設定されています。園内の里山体験エリアには「里山民家」や「岸田んぼ」などが整備され、ボランティア活動やイベント、里山の文化や自然の学習などを行う都民協働推進の拠点となっています。

2.広域的視点を持った協働型パークマネジメント

  私たちの都民協働型パークマネジメントは、①意見を集める、②ビジョンをつくる、③学びあう、④実践する、⑤確認するという手法を用い、協働を支える様々な仕組みを取り入れることにより事業を展開しています。また、平成23年度からはこれらの取り組みを継続させるとともに、東京都及び都県境を越えた丘陵地連携も踏まえた、広域的な視点を持ったパークマネジメントへ発展させています。

3.具体的な取り組み内容・成果

  私たちはこれまで7年間段階的に都民協働の取り組みを継続・発展させ、ボランティア活動を充実・多様化させてきました。また、他団体と連携してイベントを実施するなど広域的な連携を進めました。

(1)ボランティアの増加と多世代化

  平成22年度には、ボランティアの参加延べ人数が8,000人を超え、その後もさらに増加傾向にあります。また、ボランティア登録者数は平成25年度には369人に上り、20歳代未満の登録も増えています。平成23年度には公園ボランティアの発足から10年を迎え、より活発な活動が展開されています。

(2)マナーアップキャンペーンの実施

  近年、自転車での公園利用が増え、歩行者とのトラブルなどの課題が出ています。そこで、地元の自転車愛好家グループ「西多摩マウンテンバイク友の会」、「ペルジタ」、また「日本マウンテンバイク協会」と連携し、誰もが安心して過ごせる公園づくりを目指し、初の試みである自転車のマナーアップキャンペーンを実施しました。当キャンペーンでは、パンフレットやステッカーを作成・配布し、ポスターやのぼり旗を設置するなどしてマナーアップをPRしました。すぐに効果のでる事業ではありませんが、継続してマナーアップに取り組み、自転車利用者と来園者が共存できる公園づくりを進めています。

(3)わいわいミーティング(旧称:懇談会)、公園協議会

  私たちは、より多くの都民との協働によって公園を「運営」し、都民とともに「公園ビジョン(構想)を共有」し、「構想に反映」していきたいと考えています。そのために、わいわいミーティングや公園協議会を通じて多くの人たちと意見交換を行い、そこで話し合われたことを踏まえて、できることから一つずつ実現させてきました。
わいわいミーティングは、公園を利用されるみなさんが気軽に公園管理について意見交換できる場で、平成24年度に初めて開催しました。地元自治体や福祉関係者の方にも参加いただき、里山民家周辺をだれもが快適に利用できるよう、参加者のみなさんから意見を集め、ユニバーサルな公園づくりを進める足がかりとすることができました。

  協議会は、公園で活動している市民団体や周辺自治体の方々と意見交換・情報交換を行い、よりよい公園づくりのために連携していこうというものです。野山北・六道山公園では年4回開催し、東京都の実施する整備工事や公園の取り組みについて意見交換を行っています。

(4)生物多様性の取り組み

  里山の生態系に大きな影響を与えるオオブタクサやセイタカアワダチソウなどの外来植物の駆除を、公園ボランティア及び学校ボランティアと協働で実施し、年々減少させることに成功しています。
希少種保全の取り組みでは、トウキョウサンショウウオや、タコノアシ、ミゾコウジュなど30種に力を入れてきました。特にオオニガナの保全は事例が少ないため、試行錯誤で取り組んできました。これまで発芽条件の実験・調査、自生地への播種、プランターでの苗育成などを実施しています。平成24年度には、絶滅のリスクを低減させるため、公園ボランティアと協働で、育成した苗を宮野入谷戸のビオトープに移植し、生育地拡大を試みました。また、自生地の保全として、湿地の定期的な草刈りや選択的除草を行なっています。

(5)都県境を越えた狭山丘陵ネットワークづくり

  狭山丘陵の適切な利用と保全を進めるため、都県境を越えた連携を推進しました。具体的には埼玉県側も含めた狭山丘陵周辺の公共施設や管理団体のメーリングリストを立ち上げ、情報共有を進めました。また、狭山丘陵の保全・活用・普及啓発に関わる6団体と狭山丘陵広域連絡会を立ち上げ、今後のさらなる広域連携の推進に向けて、具体的な枠組みを作ることができました。

  さらに、環境省地球環境パートナーシッププラザにて、「企画展:トトロの森の仲間たち」を実施(主催:公益財団法人トトロのふるさと基金、共催:西川森の市場、西武・狭山丘陵パートナーズ)し、都立公園の取組みをパネルで紹介しました。この企画展には約7,000名が訪れ、多くの人々に狭山丘陵や都立公園の魅力を伝え、足を運ぶきっかけづくりとすることができました。

4.取り組みのさらなる発展に向けて

  「都民協働による循環型パークマネジメント」により、多くのボランティアとさまざまな活動を実践することができました。今後もこれらの取り組みを継続させ、持続的に地域が活性化できる公園づくりを進めます。

  さらに、今まで実施してきた都民協働による公園づくりや生物多様性の取り組みをさらに充実・発展させ、公園だけにとどまらない広域的視点を持ったパークマネジメントへ発展させたいと考えています。

西武・狭山丘陵パートナーズ 広報部・PDCA部

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